大朏先生

【実施日】令和3年7月15日(木)12:15~12:45

【講 師】島根大学医学部精神医学講座 講師 大朏 孝治 先生

【参加者】23名

【概 要】
 先生は山口大学のご出身で2016年から島根大学にご勤務である。精神科医として多くの資格を持ち、現在外来医長、ストレス外来/リエゾン診療を担当され、気分障害や造血幹細胞移植のメンタルヘルスを専門とされている。
 先生の19年間のキャリアから、「精神科医からのメッセージ」と題してお話し頂いた。
 最初に精神科医の仕事について、疾患やその治療の特徴から「個別化医療」「寄り添い、生きやすいように支援」「心理社会的状況を把握し、『その人』を診る」「全人的医療」の4点にまとめお話し頂いた。特に「他科と違うのは、症状だけ診ていては本質的に良くならない、人は心理機能が発達する中で様々な経験をし、その養育環境が全く違うストーリーを描くため、生活史を踏まえ『その人』を総合的に診る」というお話が印象に残った。その人個人の尊厳を守り、患者の視線に立って寄り添い関わることから生まれる信頼関係や全人的医療が精神科医療では重要であることを学んだ。
 また、高齢化・ストレス社会により認知症やうつ病・適応障害等が増加している現状を、データを用いて説明頂き、今後も精神科医のニーズは増加の一途であることをお話し頂いた。更に精神科医としての向き不向きや患者さんへの対応の在り方・就職先の選択肢の多さ等、精神科医療に関心のある学生にとってはホットな情報が提供された。
 最後に先生は「考えて得られるものはあるが、行動してみないと得られない知識と経験がある」として色々な経験を積むことの重要性についてと、先生の経験則と前置きをしながら、未来ある学生に自己の行動指針或いは振り返りの視点ともなる「大切なこと10箇条」をメッセージとしてお贈り頂いた。また加えて、今後学生が歩む人生において「負を耐える力」が求められるとして、帚木蓬生さんの「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力」をご紹介頂き、これからの人生に示唆を与える重要なワードをご教示頂いた。