門田先生

   病理組織学的な診断研究の魅力      

【実施日】令和3年11月15日(月)12:15~12:45

【講 師】島根大学医学部病理学講座 器官病理学 教授 門田 球一先生

【参加者】17名

【概 要】

 門田先生は前任の香川大学がご出身で、本年4月島根大学医学部器官病理学の教授に着任された。
 先生は自己紹介で、名前が球一であるが野球は得意ではないこと、愛媛県の出身で島根県が初めての本土上陸での生活であること等ユーモアたっぷりに話され、会場が一瞬にして和むのが感じられた。また、病理医は全国的に不足しており、特に島根県は少ないと“特に”を4回連呼強調され、会場が再びドッと沸いた。1人でも多くの学生が病理組織学を基盤とする診断や研究に興味を持ってくれれば幸いであると話され、病理医としての診断・研究・留学についてお話し頂いた。
 先生は呼吸器病理学がご専門で、これまで「病理学的な解析から日常臨床へ」を目標に掲げ、臨床的な治療方針の決定に影響を与える病理組織所見を発見する等、その業績が日本のがん取扱規約やWHOの腫瘍分類に記載される輝かしい功績を残されている。病理診断は診療において最終診断(確定診断)として扱われるため、臨床医と病理医の密なコミュニケーションが重要で疑問点を討論することが大事であると話された。
 留学について先生ご自身は、ニューヨークメモリアルスローンケタリングがんセンターに5年間研究留学されている。そこでは、10年分の病理検体を1年間で経験することができ、研究に集中できる環境下で、海外での発表も多く経験されたそうである。先生は留学について、研究の魅力を知るための良い機会であり、色々な海外の事を知る上でも経験として大事であると話された。また、成果を気にしすぎることなく、医師人生の一つの経験、海外に医師の友達を作るだけでも十分な目的であるとその魅力を伝えられた。
 最後に島根大学においての今後の研究計画についてご紹介頂き、島根大学のデータでWHO腫瘍分類を変えたいと、病理形態学を基盤とした研究成果を世界に向けて発信したいと述べられた。
 参加学生からは、病理学講座の方針が理解でき、将来の進路の選択肢の1つとして大いに参考になったと感想が寄せられた。