【テーマ】総合診療医の役割

【実施日】令和2年7月3日(金)18:00~19:30

【講 師】宮城県気仙沼市立本吉病院 院長 齊藤 稔哲(さいとう としあき) 先生

【参加者】17名

【概 要】
 齊藤先生には、直線距離で約900Km離れた気仙沼市立本吉病院からオンラインで「総合診療医の役割」についてお話し頂いた。先生はチャット機能を使って、参加学生に問いかけながら学生のキーワードを拾い上げ、双方向に話を進められた。
 総合診療医と臓器別専門医を木の幹と枝に例え、2者は求められる医療の役割に違いがあるとして、「生活を維持する医療」と「治す医療」に分け明確に説明頂いた。
 生活が維持できるように支える医療として、対象者を全人的に捉え生活の質を落とさないよう、生涯にわたる時間軸の視点を持って関わることの重要性が伝えられた。
 また、医療機関外での活動も、地域の力を結束して組織力を高める方向で多様な取り組みが行われており、そこにはこの度のコロナウイルス感染症対応についても、医療崩壊を招かないように医療圏全体での仕組みづくりが紹介された。
 最後に先生は学生に、「医療の役割とは何か時々考えてほしい。」というメッセージと併せ、
 医療の役割を、「幸せが最大になるように、幸せの基盤を損なう心身の不調を和らげ・解消するために、医療の分野で人と関わること」と定義され、地域の総合診療医の役割は「地域の住民の幸せが最大になるように、『人を細分化せず1人の人として診療し』、『医療・福祉を含む、地域の生活の在り方を観察し』、『不足している医療を補い』、『地域の組織力を向上させ』、幸せの基盤となる生活を住民と一緒に作っていくこと」と締めくくられた。
 先生は自己紹介で生粋の総合診療医ではない、紆余曲折系医師が語る総合診療であると最初に述べられたが、これまでの全ての経験が統合され実践の中から語られる言葉には重みがあり、住民に対する慈愛が満ちていた。豊かな経験から学生達に伝えられた総合診療医の役割は、「自身が地元の医療にどのように貢献できるのかを改めて考えるきっかけとなった」という感想からも、しっかり学生に届いていることが分かる。

 

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