kitagawa

【実施日】令和3年10月26日(火)18:00~19:00

【講 師】隠岐広域連合立 隠岐島前病院 木田川 幸紀先生

【参加者】62名

 木田川先生の講演タイトルは「地域医療をあきらめてしまいそうな君に捧ぐ 頑張るキミのそばには、きっとステキな仲間がいる」であった。このタイトルの長さ&ストーリー性はおそらく地域医療Webinar始まって以来ダントツ1位であり、このタイトルに惹かれてWebinarに参加頂いた方も多かったのではないかと思われる。まるで令和版オンライン落語を聞くが如く、めくり台を置くならば、「ダメ医者木田川成長物語(ご本人のお話しより抜粋)」とでも書かれていそうな、木田川先生の学童期から現在までの成長を支え育てた人たちと交わされる会話や心の叫びがスライドとあわせ情景豊かに語られた。
 先生ご自身は、本来ネクラと称されるも自虐ネタから笑いを誘い、本音をしゃべりすぎて拝聴する側の心臓がバクバクするような内容には、とてもネクラ人間の発言・発信力とは思えないものがあった。
  特に印象に残ったのは、医師になって5年目の自分自身を俯瞰的に捉えまとめられた「成長しない医者の典型例 1.知ったかぶりをする 2.自分に甘い 3.格好をつける 4.できるふりをするのが上手 5.短絡的 6.困った時に相談するのは苦手 7.疑問の解決がわからない」の7つである。これらは、医師になろうとする学生達にとって必見の内容であった。この7項目は裏返せば、木田川先生ご自身が5年間で様々な経験をし、指導医の先生方からのフィードバックを受けながら、多様な視点から振り返る内省があってこそ導き出されたものであり、経験を学びに変えて成長された証でもあるように思われた。
  先生が「前を向いて歩けるようになって見えてきた景色がある」とご紹介された写真は島前病院から見る町と海の写真であった。何気ない風景も心にゆとりがないと、見えるものも見えない、感じるものも感じられない。このような体験はおそらく多く人が同じように経験しているのではないかと思われる。
  最後に総合診療医を目指す学生に、タイトルと同様に素敵なメッセージで締めくくられた。「地域総合診療医を目指したいキミの思いが消えてしまわないようにできること 1.相談できる先輩を見つけ、将来の自分に重ねてイメージしてみること 2.一緒に地域医療を目指す仲間とのコミュニティ―に飛び込むこと」である。それはまさに木田川先生が講演の間に呟かれた「今は、あの場所があるじゃないか!! しまね総合診療センター」であると思われる。学生の皆さんみらい棟2階「しまね総合診療センター」のドアをノックしてみませんか。