木村先生

【テーマ】診療看護師について(ナースプラティクショナー)

~from Global to Local Perspective ~

【実施日】令和3年11月26日(金)18:00~19:00

【講 師】雲南市立病院地域ケア科 診療看護師 木村 千尋先生

【参加者】36名

【概 要】

 木村先生は看護大学を卒業後2年の臨床を経て渡米され、働きながら大学の老年ナースプラティクショナー(NP)修士課程に学ばれ、NPの免許を取得されている。
 アメリカでは、NPとして高齢者施設等で働かれた経験をお持ちで、2016年に帰国され、現在雲南市立病院地域ケア科で診療看護師(NP)としてご勤務である。
最初にICN(国際看護協会)の定義からNPを高度実践看護師と紹介され、米国でのNP誕生を歴史からひも解いて下さり、日本の教育課程や資格と対比しながら、法制化の問題も含め、わかりやすくお話し頂いた。
 木村先生はNPの役割を「医療のギャップに介入し、医療の質を向上させることである」と述べられ、科学的思考能力等5項目のコンピテンシーとNPが介入することにより患者にどのようなアウトカムがあるのか、検証されたその効果についてお話し頂いた。NPの強みは「実践能力を持って実践の場にいるからこそ、医療のギャップが見える」という言葉が印象的だった。
 また、診療看護師の実践とその成果を、ダイレクトケア(臨床推論、特定行為)・患者教育(コーチング)・チーム医療マネジメント(コーディネート)の視点からお話し頂いた。NPとしての誇りを持ち多職種と連携・協働しながら得られる成果やそこから生まれるやりがいを語られる先生の声には、情熱と看護職の未来を切り開く力強さが感じられた。おそらくそこに協働する看護職・学ぶNPの学生との間にも、エビデンスを持ってケアすることや学ぶことの喜びが反応となって相互に作用し、看護のアイデンティティの醸成につながっているように考える。
 最後に今後の展望として「フレイルな高齢者の生活を地域で支える」ことをNPのミッションとして示され、病院の基本理念をベースに在院日数の短縮をめざし、“安心”を軸にした移行期ケアの具体的な取り組みについてお話し頂いた。
 NPの展望を話される先生の笑顔はとても魅力的で、地元に根付かれ、多くの方々と関係性を築かれたのだと感じ、これからのNPのロールモデルとして今後のご活躍が更に期待される方であると感じた。アメリカ・日本におけるNPとしての経験値に基づいたご講演は、視聴する我々も知らない専門領域をお教えいただき学びの多い濃い時間となった。