【テーマ】高齢者のエンド・オブ・ライフ・ケア ~高齢者にとっての最善を実現するために~

【日 時】令和元年12月11日(水)18:00~19:30

【場 所】みらい棟2階 共通カンファレンスⅠ

【講 師】松江市立病院 副看護局長/老人看護専門看護師 吉岡 佐知子 先生

【参加者】16名

【概要】 

 地域医療を実践する上で多職種の連携は欠かせない。今回のセミナーは、島根県初の老人看護専門看護師で高齢者看護のエキスパートである、吉岡先生をお迎えした。超高齢・多死社会の到来は人生の最終段階を生きる高齢者にとって何が最善の医療なのか?何が最善のケアなのか?模索する機会は格段に増加しているというメッセージから始まった。

 高齢者が納得できる最善とは、医学的な判断とは異なり、高齢者の意思(価値判断)を中心に本人・家族も含めた関係者による十分な話し合いによって判断することが必要であるとお話頂いた。また、平成30年に改訂された「人生最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」にはACP(アドバンス・ケア・プランニング)の概念が盛り込まれ、そのポイントについても説明頂いた。時期を同じくして、厚労省がACPについて、愛称を「人生会議」に決定して、11月30日(いい看取り・看取られ)を「人生会議の日」とした話題からもタイムリーであった。

 特に、日常の生活場面(ケア)において高齢者本人の意思を捉えることが大切であり、不適切なケアは苦痛を与えそれは虐待にも等しく、ケアリングの姿勢をもって臨む日々の丁寧なケアが高齢者の尊厳保持に繋がることを学んだ。また、医学生にとっては、治療が害になる場合や苦痛を与える場合もあることから、医師にしかできない判断として「何もしないという選択もある」というお話は、これまでの思考になく大変印象に残ったようである。

 最期の生を支える専門職になる学生あるいは職員に、高齢者にとっての最善とは何か警鐘を鳴らし、考える機会を頂いたことに感謝する。

吉岡先生1吉岡先生2