【テーマ】Acute Care surgeryの魅力~離島出身の私が選んだ道~
【実施日】2024年4月10日(水) 12:15~12:45
【講 師】島根大学医学部附属病院 高度外傷センター講師 下条 芳秀 先生
【参加者】 42名
【概 要】
 先生は、島根県隠岐の島の島後と同規模にあたる、長崎県壱岐市の離島出身である。
2003年に島根医科大学を卒業し、初期研修を松江生協病院に行われた。ちょうど時を同じくして日本で話題となっていのたが、防ぎうる外傷死が38.6%もあることであった。それを減少させるべく、日本でも外傷診療に関するガイドラインが次々と出され研修も盛んになってきていた。このような背景から先生は外傷診療にとても魅力を感じ、JATEC、ACLSの研修に参加されていたそうである。

 その経験から外科系救急医を志されたものの、当時は外科系救急医については確立しておらず、腫瘍外科の道に進まれた。外科医として大学院にも進みキャリア形成していかれたが、やはり外傷をしたいという思いが強く、福岡へ救急・集中治療を学びに行かれた。それでも悔しい思いを抱えていたころ、ACS(acute care surgery)という概念がアメリカで提唱され、島根大学に日本初のACS講座が立ち上がり心からワクワクしたそうである。

 2016年にACS講座の初期メンバーに加わり様々な症例を経験し、外傷外科のすばらしさを伝え、当初ACS講座は3人であったメンバーは、現在スタッフ28人まで増えたとのことである。現在、力を入れて取り組まれているのが、「外傷診療システムの構築としてチームマネジメントの徹底」「継続的な教育」である。外傷センターにおいても医師だけではなく、看護師、手術室のスタッフ、リハビリテーション専門化など、多職種それぞれが効率よく連携し、患者の治療とケアが最適なアプローチを提供でき、それが卒前卒後の教育にも深く関わっていくと言われていた。

 先生のキャリアは人との出会いで完成したキャリアであるといわれた。初期研修医の時に出会った、外科の恩師、ACSの立ち上げメンバーである同僚医師に影響を受け、進むことができた。キャリアについてのアドバイスとして計画的偶発性理論をあげられた。人との出会いを大事に、チャンスをものにできるように『計画的偶発を起こすために常に主体的であれ』と聴講者の背中を押して、締めくくられた。

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