【実施日】令和4年10月24日(月)12:15~12:45

【テーマ】消化器内視鏡医のしごと

【講 師】島根大学医学部附属病院光学診療部 部長 柴垣広太郎先生

【参加者】12名

【概 要】

 先生には「消化器内視鏡医の仕事」「診療科の選択とspecialtyの決定」の2本立てでお話を頂いた。

 消化器内視鏡医の仕事では、「消化器疾患の診断と治療」、「胆膵疾患の診断と治療」が主なもので、それぞれに専門家がいると話された。内視鏡下のスライドを提示下さり、見つけた小さな腫瘍をどのように良性・悪性の特定をするのか、また内視鏡的粘膜切除術(polypectomy・EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)等、治療の実際を動画で見せて頂いた。更に、内視鏡医と外科医が低侵襲で腫瘍切除を行う腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)をご紹介頂いた。消化器疾患の診断や治療における内視鏡の需要は拡大し、内視鏡的診断・治療技術の向上は治療成績を大きく改善していると教示頂いた。

先生が重ねて伝えられたのは、優れた知識や卓越したスキルを持つためには、基本的手技が確立し、多くの症例が経験できるハイボリュームセンターでの自己研鑽であった。先生ご自身も淀川キリスト教病院や佐久総合病院で、優れた指導医の下、多くの症例を経験され、“医師として成長した時”であったと振り返られた。高度なスキルを獲得する過程には、経験の長さだけでなく、良質な経験を積むことが大事であることを示唆された。

 診療科の選択とspecialtyの決定で、先生ご自身は全身を診る診療科を希望し、出身大学である島根医科大学の消化器内科に入局された。1年目は何もできない自分に自信が持てず、自己肯定感が持てなかったそうである。しかし、関連病院に派遣された2年目は出来ることも徐々に増え、緊急内視鏡は指導医が来られる前に準備し実践ができる環境を自ら作り出されたそうである。「やる気があれば道が開ける」ことを実感するとともに、積極的に研鑽に励むようになったと回想された。5年目から前記のハイボリュームセンターでの研修を教授に交渉して臨まれ、「そこで得た知見や技量はそれまでのものを劇的に向上させるものであった」と話された。学生へのTake Home Messageで贈られた「専門科は熱が持てそうなものを選ぶ」「専門が決まったら勉強に行く」は、先生のご経験から揺るがないメッセージとして、質の高い経験を能動的に求めていくことの重要性を教示頂いたように考える。

柴垣広太郎先生

柴垣広太郎先生

柴垣広太郎先生