【テーマ】地域で迷うこと、あなただったらどうしますか?

【実施日】令和4年4月12日(火) 18:00~19:00

【講 師】浜田市国民健康保険 あさひ診療所 所長 上野 伸行 先生

【参加者】38名

【概 要】

 上野先生は島根大学のご卒業で、現在浜田市国民健康保険あさひ診療所の所長である。ご依頼をした時、「地域を疑似体験できるセミナーを目指します!」とメッセージを頂き、3年連続で講師をお引き受け頂いた。

 疑似体験は2症例を提示頂き、1症例は『注射が嫌いな高齢者の肺炎球菌ワクチンの接種について』、もう1症例は『ガン性疼痛がある患者さんの在宅での疼痛緩和について』であった。学生に”あなただったらどうしますか”と問いかけをしながら対話形式で学生の思考を引き出され、その後、先生ご自身がどのように対応されたのかフィードバックが行われた。また2症例をベースに、『対象を総合的に診る』とはどういうことなのか、対象の健康問題を疾患(disease)として生物医療学的に捉えるだけでなく、病い(illness)の視点から捉えることも大事であり、加えて対象やその家族の背景・文脈を考慮することの重要性を教示頂いた。

 更に、医師を志した初学者である学生たちに、対象理解の有効な枠組みとして示唆を与えるジョージ・エンゲルが提唱した『生物・心理・社会モデル(bio-psycho-social model)』をご紹介頂いた。解説として述べられた「生物学的アプローチはその人が生きることを助け、心理社会的な側面を含め診ると、その人がいきいきと生きることを助ける」は、モデルを端的に表現され理解が深まった。

 学生からも多数の質問が寄せられ、終了後の感想には「実例を交えて、地域医療とはどんなものかがよく分かる講義で勉強になった」「地域に求められている医師像が見えてきた。上野先生のように、患者さんのために様々なことを考えた上で行動できるような医師になりたい」「現場で患者の話をよく聞くことを活かしたい」等々ロールモデルとしての先生のご活躍が益々期待される。

上野先生