浦野

浦野

【実施日】令和6年7月18日(水)12:15~12:45

【テーマ】地方大学基礎教授の挑戦

【講 師】島根大学 新興感染症ワクチン・治療用抗体研究開発センター
           副センター長 浦野 健 先生

【参加者】 25 名

【概 要】

大学卒業後から島根大学に就任するまでの軌跡についてお話しいただいた。父は長崎大学の外科医、母は中学教員の家庭で育ち、何も疑うことなく長崎大学医学部に進まれた。大学生時代はテニスに明け暮れ、卒業後は長崎大学外科へ入局し、琉球大学をはじめ様々な関連病院で自己研鑽に励まれた。過疎地の病院の研修時は、多くの救急外来・一般外科、内視鏡検査を行い、俗世間を忘れて勉強に没頭した。また、病院に泊まりこみ救急患者さん全ての治療にあたるという過酷な生活をされていた。そのような中、「医療の可能性を広げより多くの人を救いたいが、消化器外科医として手術でTOPになるのは難しい」と感じ、基礎研究の道に進まれた。そして、「日本にはもう帰らない」と覚悟を決め奥様と一緒に米国へ留学、Tufts大学生化学教室へと進学されそこで数多くの業績をあげられた。その後、恩師との縁があり名古屋大学生化学教室助手から助教授を経て、島根大学病態生化学教授となられた。

2018年3月には島根大学認定ベンチャーとして浦野先生が研究しておられる特殊な抗体作成技術を活用した研究試薬・新弾薬・医薬の研究開発および製造販売を目的に「mabProtein(マブプロテイン)社を設立。開発される抗体は医学における最先端の研究に役立つだけでなく、医療現場において疾患の早期診断や病態解明、さらに各種疾患の治療薬への展開が期待されている。現在は、新型コロナ感染症への治療薬・ワクチン研究にも力を入れられている。

学生へのメッセージとして「自分が何をやりたいかをしっかり考え、置かれた環境を最大限利用し、全力で仕事ができるような人でTOPを目指してほしい」と語られた。

先生のお話しはとても面白く、意外な素顔を拝見することができ、またどんな状況におかれても学ぶ楽しさを見出し、目的をもって取り組まれているのが印象的であった。