【開催しました】令和7年度第1回Career Seminar
2025年05月13日
本セミナーは、慶應義塾大学をご卒業後、同大学の腎臓内科に入局され、臨床と研究の両面でご活躍されてきた吉野先生にご講演いただいた。
先生は、臨床と研究の「二足のわらじ」を履くという表現を用いられ、時には両立し、時には片方に集中しながらキャリアを築いてこられたと述べられた。研究に取り組む魅力については、「新たな知見を得ることで、未来の患者を救う可能性がある」点を強調されていた。
また、研究にはマウスなどを用いた基礎研究と、人を対象とする臨床研究があり、この両者を行き来できるのは医師ならではの特徴であり、大きな魅力であると説明された。先生の研究テーマは、誰にでも関係する「老化」である。平均寿命が延伸する一方で、日常生活に制限のない「健康寿命」はなかなか伸びず、社会的課題となっている。
島根県は100歳以上の人口割合が全国で最も高く、高齢者研究に適した環境である。腎臓も加齢とともに慢性腎不全が進行しやすく、健康寿命に大きな影響を与える臓器であることから、先生は寿命や老化のメカニズムを明らかにし、それに関連する疾患の予防・治療法の開発を目指して研究を行なわれている。
さらに先生は、大学院修了後に14年間の海外留学を経験され、ワシントン大学医学部で博士号を取得、その後、独立して自身の研究室を開設された。
海外研究の魅力としては、新しい研究分野に挑戦できる、最先端の知識・技術に触れられる、年齢や国籍を問わず活発な議論が行える、自分のペースで研究に専念できる、若いうちから独立するチャンスがあるなどが挙げられた。
また、研究以外にも現地の観光や文化に触れ、本場のスポーツ観戦など新鮮な体験も大いに得られたそうである。
先生のお話しは、将来的に海外での研究活動を検討している学生にとって、非常に夢と希望を感じられる貴重な機会となった。