神田先生神田先生神田先生

【実施日】令和5年11月29日(水)12:15~12:45
【テーマ】私の医師としてのキャリア臨床医、研究医、産業医の経験を通して
【講 師】島根大学医学部 内科学講座 腎臓内科 教授 神田 武志 先生
【参加者】21名
 先生は新潟県のご出身で、慶応義塾大学医学部のご卒業である。令和5年1月に島根大学医学部内科学講座腎臓内科の教授に着任された。
 先生は学生時代を含め臨床・研究・産業医の経験を通して、「勉強だけでなくいろいろな経験をして、人と人とのつながりを大事にほしい」と学生達にファーストメッセージを贈られた。先生は学生時代、ラグビーを通して“生涯の仲間”に出会えたそうである。当時労苦を共にした仲間とは今も繋がり、そこから生み出される活動が新たな繋がりに発展しているとお話し頂いた。
  また、様々な経験は自分のアピールポイントとして活きてくることも付け加えられた。先生が臨床医となるべく診療科選択は、“4つの判断基準1.マイナーかメジャーか2.手術をするかしないか3.癌を扱うかどうか4.理詰めで考えれる”を持って決められたそうである。最終的に腎臓内科に決められたのは、当時降圧剤ARBが臨床でも研究でも全盛期で「これは面白い」と感じられた「やりがい」であった。
  研究医としての先生は、当初臨床が面白く研究に関心がなかったそうである。しかし、臨床と研究活動は車の両輪で取り組み始めたところ、自分で仮説を立て証明していく過程の面白さにはまり、新しい発見に繋がったと話された。医師10年目にはアメリカボストンにあるハーバード大学の関連病院に3年半留学された。海外留学のスライドからは、研究者との交流やプライベート等、何事にも代えがたい充実した時間であったことが伺えた。
 また、先生は産業医として慶応義塾大学の保健管理センターで、小学生から高齢者まで幅広い年代の予防医療に従事された経験をお持ちである。数千人規模の健診データの解析から、生活習慣病の予防には幼少期からの注意が重要であること等詳しくお話し頂いた。
最後に、内科への勧誘を含め内科学の現状と課題に触れられた。今後の医療は複数の疾病を抱えた高齢者が増加し、慢性期医療の充実が求められ、総合力と専門力が必要とされる。また、AIの医療分野への応用は一段と高まるが、AIでは代替できないこととして、医師のコミュニケーション能力を挙げられた。加えて、高い総合力と専門力を備え持つ島根大学内科チームと今後の腎臓内科の取り組みとして、The program for Integrated Kidney Research and Advance ( 統合腎疾患制御研究・開発プログラム )IKRAのメンバーがスライドで紹介された。「島根県には先輩・同期・後輩等の仲間がいる。進路はSNSを信用せず、信頼できる人に相談をするように」とラストメッセージを贈られた。