【実施日】 令和4年12月16日(金)18:00~19:00
【テーマ】診療看護師って何者ですか?~実際に離島で働くS氏の場合~
【講 師】隠岐広域連合立隠岐病院 診療部 診療支援室室長
     兼 総合診療科診療看護師 芹田 晃道 先生
【参加者】20名

【概 要】
 診療看護師として10年のキャリアを持たれる隠岐病院の芹田先生を講師としてお迎えした。
先生は2013年に診療看護師の資格を取得され、急性期医療から現在の離島医療を含め4施設で従事されている。
また、看護大学で教育に携われた経歴をお持ちの他、臨床工学士の資格も取得されている。

 先生が診療看護師を志されたのは、「元教育者として看護師の教育をより医学的に一段高めたい。高度実践看護の可能性を信じて医学教育を徹底的に受けたい」との思いからである。
また「いずれ僻地で自分のスキルを役に立てる」ことも想定されていたそうである。

 “診療看護師とは何者なのか”、最初に米国におけるナースプラテクショナーの歴史をたどり詳しく説明を頂いた。
続いて日本における診療看護師の役割や診療看護師の核となる7つの能力をご紹介頂いた。
芹田先生は「能力については、ある程度自己開発していく必要がある。また、その職場・地域において何が必要とされて、自分に何ができるのか業務に落とし込んでいく事も大切である」と話された。
隠岐病院入職前には、自己をSWOT分析し、課題や戦略を明確にされている。
更には“隠岐病院に求められる医療”“医師の持つニード分析”、“職務上の自己ポリシー”等理論を活用した客観的な分析に、診療看護師としての深い知識と経験に裏打ちされたスタンスが垣間見えた。

 副題の“実際に離島で働くS氏の場合”とは、もちろん芹田先生のことで、隠岐病院での現行業務をご紹介頂いた。
“入院患者の疾病管理支援”“Rapid Response System立ち上げ”“患者搬送支援”、“訪問診療への介入”等々院内外でご活躍である。
診療看護師赴任による病院の変化を裏付ける、元同僚の医師からのメッセージや訪問診療件数・在宅看取りの増加等を数字でお示し頂き、その専門性が高く評価されていることが分かった。

 先生は「診療看護師として従事する中で、多職種に対するリスペクトが増した。自分たちの視点・視野・視座では見えなかったことが理解できる」と話されとても印象に残った。
チーム医療を実践する上で、多職種の専門性を理解していく事は互いの信頼性を獲得することに繋がり、さらに協働関係を促進する上で重要であることを学んだ。

 最後に診療看護師としてのご自身の仕事を「橋渡しをする仕事」「隙間を埋める仕事」「何かアドバイスをする仕事」「困っていたら補完する仕事」と表現され、今後、次世代の診療看護師の育成や活躍につながるようしっかりした基礎を築いていきたいと展望を述べられた。

 終了後の質問も多く、チーム医療の実践、地域包括ケア促進の観点から高度実践看護の担い手である診療看護師に寄せられる期待は大きいと感じた。

 

会場

会場