【実施日】令和4年12月21日(水)12:15~12:45

【講 師】島根大学医学部産婦人科学講座 助教 山下 瞳先生

【テーマ】女性に寄り添う産婦人科のしごと

【参加者】15名

山下先生は群馬県のご出身である。「医師になって、お産を取ってみたい」という思いから、産婦人科医を目指して島根大学医学部へ入学された。

先生は、臨床実習や初期研修医時代に自身の不器用さを痛感され、「自分に手術ができるのか。手術から逃げたい」、「産婦人科医は激務なイメージで、家庭の両立ができるのか」と不安になったそうである。しかし、元々目指していた産婦人科医にならなければ後悔すると考え、初志貫徹で産婦人科に入局された。

先生はご自身の不器用な一面について、「人間、経験をつめば何とかなる。むしろ、ずっと下手でいる方が逆に難しいと実感している。手術の件数が増え、練習を重ねるうちに、少しずつでも上手になる。今では手術が好きになった」とこれまでの経験を振り返られた。また、家庭との両立については、「正直忙しい時もあるが、今後働き方改革が進むと期待している。家庭がある人は、パートナーとしっかり相談しながら決めてもらえばいいと思う」と話された。

続いて、産婦人科の仕事について、女性のライフステージをまとめたグラフを用いて説明頂いた。概ね10歳頃に初経を迎えて以降、妊娠・出産、更年期~閉経、老年期まで、産婦人科に関わる機会は多く、女性に一番身近な診療科と言っても過言ではないと話された。産婦人科には、1.生殖、2.周産期、3.主要、4.女性医学の4つの柱がある。生殖は内分泌に関わる分野であり、腫瘍は手術にも関わる。一括りに産婦人科と言っても、内科的要素から外科的要素まで、その分野は多岐に渡ることを教示頂いた。大学病院では、この4つの柱からどれか一つを選び、サブスペシャリティ取得を目指すことが多いそうである。また他科と比較して、赤ちゃんが生まれるたびに「おめでとう」と言える、祝福が多い診療科であるのも特徴で、産婦人科に入局する医師のほとんどはお産が好きだと思うと話された。

先生はお忙しい中でもキャリアを積んでこられた。医学博士や産婦人科専門医、内視鏡技術認定医など様々な資格を取得され、現在は婦人科腫瘍専門医の取得に向けて修練中だそうである。また、産婦人科学会JSOG Congress Awardを受賞されるなど、研究分野においても精力的に取り組まれている。

最後に学生に向けて、「仕事ばかりでなく、趣味や息抜きも大事である」とアドバイス頂いた。先生ご自身は旅行や音楽鑑賞が趣味だそうで、松江フォーゲルパークに行ったことや、大好きなアーティストのライブに当選したことを嬉しそうに話された。終始笑顔溢れるセミナーで、激務のイメージもある産婦人科でも、先生のように仕事もプライベートも充実させられることが分かった。参加した学生にも産婦人科の魅力が伝わり、進路選択の参考になったものと思われる。

山下 瞳先生山下 瞳先生山下 瞳先生