福島先生福島先生

地域医療セミナー ~休日特別編~

【日時】令和6年5月18日(土)15:00-17:00

【会場】島根大学医学部みらい棟4階ギャラクシー

【講師】福島県立医科大学 衛生学・予防医学講座 前教授

    福島哲仁先生

【演題】人生の岐路に 出会いの意味を知る

  ~寄生虫が教えてくれる、それは人と人との相互作用の賜物~

 福島宣氏は飯南町のご出身で島根医科大学3期生、そして地域医療研究会のOBである。今回は福島県立医科大学の御退官に際し、特別講演として人生の中で岐路となった5人の恩師や仲間との出会いについてお話しを頂いた。
先生が医学の道を志すきっかけとなったのは、進路指導の際、幼少期に豪雪の中でけがをした友人が広島県の病院まで運ばれた記憶がよみがえり医学部進学を決意されたそうである。
 1978年に島根医科大学に入学後は、意気揚々と希望に燃え、地域医療に貢献するのだと「感傷的ヒューマニズム」に浸っていた。そんな折、農山研(現・地域医療研究会)の仲間たちと出会い「科学的ヒューマニズム」を培われた。これは、その後の出会いや経験を通して絶えず更新され、「自分はどう生きるのか?その時々の人生の道を照らすすべとなっていると話された。
 また地域医療を進むためには予防医学を学ぶことを勧められ、大学院では予防医学と寄生虫の研究に取り組まれた。その時、アメリカ留学を勧められオクラホマ州立大学に留学し、Howard教授と出会い「研究だけが人生ではない、もっと人生を楽しみなさい。人生が楽しくないと良い研究もできないだろう」と言われ、効率よく研究することの大切さをおそわったと話された。
後半は寄生虫研究の楽しさを見出しいた原点は、医学部4年生の寄生虫実習で、自分の便の虫卵検査を行ったところ、先生自身や友人の検体から回虫が発見されたそうである。そして、磯部先生から成虫のDNAが欲しいといわれ、自身の体内で育てることにされたという臨場感あふれるお話しに会場からどよめきと笑い声が聞かれた。
 最後に「人生の岐路で選択したことを一生懸命取り組むことが重要である」「5人の恩師や農山研の仲間との出会いには何らかの意味があったかもしれない。科学的ヒューマニズムは、私の人生の岐路に何らかの装飾を与えた」と締めくくられた。