【実施日】令和5年2月27日(月)12:15~12:45
【テーマ】外科医としての歩み
【場 所】みらい棟2階共通カンファレンス室Ⅰ
【講 師】島根大学医学部外科学講座消化器・総合外科学 教授 田島 義証 先生
【参加者】30名
【概 要】
 先生は長崎大学のご出身で、平成23年島根大学医学部外科学講座消化器・総合外科学の教授に着任され、今春退官を迎えられる。外科医としての歩みを2部構成でお話し頂いた。
 第1部は「医師への道のり」について、リンゴの皮をむく1枚のスライドと、野口英世のスライドから始まった。先生には野口英世の生い立ちとリンクする出来事が幼少期にあり、その頃からの手先の器用さを表すものとしてりんごの皮むきを紹介された。「周囲からは『外科医になりなさい』と洗脳されて育ってきた」と医師への道のり第1歩のエピソードをお聞かせ頂いた。
 大学時代は、「昼間は機械体操部、夜間は浜口雀荘クラブの正会員になり麻雀に勤しんでいた。」と、1日中課外活動に力を入れていたことをサラリと、やや強面のポーカーフェイスで話された。6年次には、外科医になることは決めていたものの、消化器外科にするか、呼吸器外科にするか悩まれたそうである。しかし相談した友人の一言が決め手となり、消化器外科に進まれた。その時のやり取りは、「『どっちが面白いやろか?』『そりゃあ、消化器外科たい。肺は、再建はなかろ』である。当時は肺の再建も移植もなかったのでこういう会話が成り立ったと説明された。


 第2部は、先生ご自身の経験を踏まえて、「私が考える医師として備えてほしい資格とその道のり、―外科医編―」と題してお話し頂いた。日本外科学会のアンケートを基に、備えてほしい資格を大学教授と一般教育病院外科部長を対比し、両者ともに“学位”と“専門医”は極めて重要とまとめられた。また若い医師から勧められたメディカルレビュー社の「若手医師のためのキャリアパス論 あなたの医師人生を10倍輝かせる方法」の本を取り上げ、くり返し出てくる『客観的評価にこだわれ』というワードを紹介された。それは「出来れば専門医を3つ、博士号(学位)→ 海外でも重要、業績(学位論文以外の論文)、英語力、海外留学歴」だそうである。
 続いて具体的に専門医・学位の取得について、先生の実際を振り返り、またその功績をお話し頂いた。
 市中病院から大学に帰られた先生に与えられた研究のテーマは「肝胆癌ばつくれ!!!」であった。先生は朝から晩までアニマルセンターにこもりモデルを作成され、1年が経った頃に「外科の田島の尻には褥瘡があり」という噂が立つほど没頭されたそうである。その結果、膵・胆管合流異常モデル、胆道再建モデル、胆管癌自然発生モデルの作成から「発がん機序、発癌抑制因子、癌細胞の特性」に関する多数の原著論文を発表されている。先生は、「リサーチとは、臨床で起こる疑問を研究で解決して、臨床に戻すものである。リサーチの面白みはやってみて初めて分かった。」と話され、学生達に朝永振一郎博士の「科学の花」を贈られた。

 最後に「おまけ」としながら「私たちは医師であると共に社会人でもある!!!」として、身に付けてほしい社会人としてのマナーを番外編で教示頂いた。
「みなさんには、令和の新たな時代を担ってほしい。専門医・サブスぺシャリティ・博士の道も1日1歩 3日で3歩 3歩進んで2歩下がるの繰り返しである」「若いみなさんの今後の健闘を祈ります!!!」とエールで締めくくられた。

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