山根先生

山根正修先生Career webinar

【テーマ】学位っていらないの?専門医っている? 海外留学するためには?

【実施日】令和4年5月18日(水)12:15~12:45

【講 師】島根大学医学部外科学講座 呼吸器外科 教授 山根正修先生

【参加者】13名

【概 要】

  学位・専門医・留学について意味深長な疑問文のテーマは開催まで大変興味をそそられた。

  先生は最初にテーマの回答として、「医師としてのキャリアに学位・専門医・留学の3つは一言でいうと『いらない』」と言明され、「もう少し大事なことがある。考えてもらいたい」と付け加えられWebinarはスタートした。

 先生はキャリアを考える視点として、経歴としての客観的キャリアと主観的キャリアがあると話された。学位・専門医・留学は経歴として客観的にわかるキャリアであり、主観的キャリアは、どのようなキャリアを歩みたいのか、客観的キャリアについてどう考えるか、自己への3つの問いから生まれると教示頂いた。その問いは、“(1)自分の強みはなにか:才能、(2)なにをやりたいのか:動機、(3)何に誇りを感じるのか:価値観”の3つで、問うことにより自らの自己イメージを形成していく。年々自分の中で涵養されて、自己認識を深めアイデンティティの獲得にも繋がるとお話し頂いた。

  更に医師は専門職業人としての利他的価値観や内面化された行動規範などで示されるプロフェッショナリズム・アイデンティティの形成が求められると教示頂いた。学生時代はどうしても実習や試験等、目の前の事に追われがちであるが、一方で長い目で自分の夢・自分のキャリアを考え、どう目指していくのか自己に問うことは早ければ早いほど自分の目的に向かっていけるとお話し頂いた。

  また、キャリア発達において、「節目」での振り返りとキャリアデザインの修正が目標に向かう効果的な戦略であると話され、時に流されることもまた必要であると説明された。節目の例として、修羅場体験・成功体験・同僚の話・ロールモデル・家庭のイベント等、人生の危機や契機となる出来事を提示された。加えて、その振り返り法としてAppreciative Inquiryと4つのプロセスを教示頂いた。学生には臨床実習を例に「友人の経験・自分が体験した事等、節目節目で振り返り、どうしたら理想化し具体的に実現していくか、友達同士、先輩や後輩と一緒に話し合うことが重要となってくる。振返りながら前に進んでいく事が自己実現に向かい、組織でいえば組織改革に繋がる」と説明された。

  何らかの転機をもたらす体験は様々なフィードバックを受け人間としての成長をもたらす。そこでの振り返りは更に自己認識を深め自己イメージを育てることを学んだ。

  最後に、学位・専門医・留学について、自分が理想とする医師像に近づくためにはどのようなキャリアが必要かと考える時に附随してくるもの、或いは組織においてはポジションを得るために学位・専門医・留学での経験ということが求められることもあると説明頂いた。主観的キャリアの価値観を問うことが大事であること等、多くの示唆を得るお話しであった。

山根先生キャリアウェビナー